私たちの事業

石炭とバイオマス燃料の安定供給を実現
顧客基盤を大切にしながら
課題解決を目指します

MSエネルシアは、1996年に三井物産株式会社の石炭部から事業の一部が分離・独立する形で誕生しました。最初は三井物産株式会社と秩父小野田株式会社(現・太平洋セメント株式会社)の合弁によりスタートし、その後、住友商事株式会社が参画し、現在では、三井物産株式会社が51%、住友商事株式会社が30%、太平洋セメント株式会社が19%出資し、一般産業のお客様に支えられながら、石炭とバイオマス燃料を専門とする商社として約30年の歴史を誇る企業に成長しました。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻により、近距離ソースであるロシア産石炭の輸入が停止した中、当社は安定供給のニーズに応えるため、新たな代替ソースの開拓を進めると同時に、従来にはない小口配送の物流システムを構築しました。[詳しくはこちら]
また、2014年からバイオマス燃料の供給事業を開始し、脱炭素化の流れを受けて、石炭に代わる資源の供給も重要なミッションとして取り組んでいます。私たちの本質は、単なるモノの調達・販売にとどまりません。お客様、資源、ロジスティクスに対する深い理解に基づき、時代に即したエネルギー資源を提供することが重要だと考えています。
石炭とバイオマス燃料の安定供給はもちろんのこと、顧客基盤を基に、今後もお客様の課題解決に全力で取り組んでまいります。

石炭の調達・販売

当社は、日本国内向けを中心に、セメント、製紙、化学品、独立系発電事業などのお客様(製鉄会社・電力会社を除く)に対して、安定的に石炭を供給しています。当社の強み1つは、主要株主である三井物産株式会社と住友商事株式会社の信用と広範なネットワークを活用できる点です。これにより、オーストラリア、インドネシア、南アフリカ、コロンビアなど、さまざまな地域から安定的に石炭を調達し、供給しています。
また、生産国や生産者に関する情報提供、炭鉱開発に関する調査、調達先との交渉など、新たな石炭ソースの開拓にも積極的に取り組んでいます。脱炭素化の流れを受けて、中長期的には石炭の需要が減少する一方で、バイオマス燃料の需要が増加すると予想されます。これまで築き上げてきたお客様との信頼関係を大切にし、今後もお客様の課題解決に貢献してまいります。

コールフロー

当社は、炭鉱からお客様の指定地まで石炭をお届けするコールサプライチェーンを構築し、あらゆるソリューションを提供しています。
具体的には、石炭輸入に欠かせない海上輸送手段の手配や傭船契約の締結、輸入通関業務、荷揚げ港での荷役作業、国内の石炭中継基地での貯炭管理、国内トラック輸送や内航船輸送の手配、さらには諸手続きや決済業務などを行います。これらの業務を通じて、実務、金融、法務の機能を駆使し、石炭を必要とするお客様の事業に貢献しています。

  • 炭鉱
  • 輸送
  • 積出港
  • 海上輸送
  • (揚荷)
  • 需要家(工場)
  • 炭鉱

    炭鉱

    石炭の採炭方法には露天掘りと坑内掘りがあります。当社が取り扱う一般炭は主に露天掘りによる採炭が大半です。

  • 輸送

    輸送

    炭鉱から積出港までは地域特性により経済性を勘案し鉄道、バージ(艀)或はトラック等により輸送されます。

  • 積出港

    積出港

    港に到着した石炭は、港湾会社により船積されます。地域によってはバージ(艀)によって沖積を行うケースもあります。

  • 海上輸送

    海上輸送

    お客様のご要望により数千トンから数万トンまで様々なサイズのバラ積み船で石炭を輸送します。

  • 港

    (揚荷)

    お客様の工場まで直送或は中継基地経由、在庫保管や内航船積替えを行います。

  • 需要家

    需要家(工場)

    お客様は自家発電やセメント焼成用に石炭を使用します。お客様の元にお届けした後も異物混入や燃焼具合まで注意を払い、お客様の声を基にさらなる改善に向け生産者とコミュニケーションを取り、しっかりとフォローします。

バイオマス燃料の調達・販売

政府が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けて、長期的かつ安定的に供給可能なバイオマス燃料並びに新規商材をご提案します。
当社では、本邦FIT制度で求められるGGL(Green Gold Label)認証付きのヤシ殻(PKS)をインドネシア・マレーシア等から調達し、本邦バイオマス発電所への安定供給に寄与しています。
更にカシューナッツ殻、ピスタチオ殻といったFIT制度で新たに認められた商材や、Black Pelletやタイヤチップといった新規商材も取り扱いながらGHG削減に貢献致します。
尚、木質系各種森林認証も取得しており、木質ペレットの調達・販売も行っています。

取得認証

  • GGL(Green Gold Label)
  • 取得名 : 物産住商カーボンエナジー株式会社
  • 取得日 : 2023年3月22日(Certificateはこちら
  • FSC® (Forest Stewardship Council®)
  • License Code : FSC-C142010
  • 取得名 : 物産住商カーボンエナジー株式会社 営業・開発第三部
  • 取得日 : 2018年7月9日(Certificateはこちら
  • PEFC (Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes)
  • 取得名 : 物産住商カーボンエナジー株式会社 営業・開発第三部
  • 取得日 : 2018年9月4日(Certificateはこちら

Narrative

ロシア産石炭の輸入がストップ!
絶体絶命の危機を打開した知恵とは

2022年2月24日 - ロシアは突如、
ウクライナへの侵攻を開始。
その時、MISECの社内に緊張が走りました。

ロシアは主要な石炭産出国であり、たくさんのお客様に供給していたため、輸入への影響が懸念されたからです。案の定、同年5月に日本政府がロシアからの資源調達を禁止すると、産業界は、激しく動揺しました。

ロシアは日本海を隔てた隣国であり、オーストラリアや東南アジア、あるいはアフリカや南米といった他の産地に比べ、日本に近いため物流面で大きなメリットがありました。遠方から輸送する場合、効率のために大量輸送する必要がありますが、大型の石炭専門船が入港できる港は限られています。ロシアは積出港の距離が近いので、小型の船で国内のさまざまな港へ、柔軟な配送が可能。わが国の企業にとって、使い勝手のよい資源だったのです。

2022年当時、ロシア産石炭は、当社の取引の半分弱を占めていました。
全面禁輸は、お客様にとっても、私たちにとっても、存続の危機に直結する問題。
手をこまねいているわけにはいきません。

窮地に陥ったからこそ生み出せた、
逆転の発想。
新たな物流システムで
「物流を再構築」することに成功。

危機感のなかで開発したのが、経由地を使った「小口配送」の物流システムでした。
オーストラリアや南アフリカといった遠隔地から石炭を調達し、大型船で輸送します。しかし、行き先は日本ではありません。中国や韓国に設けた在庫拠点にいったん配送し、小型船に積み替えて、日本のさまざまな港へ運ぶ新しい物流システムを開発したのです。
親会社である三井物産株式会社が、長い期間にわたって中国や韓国の港と良好な関係を構築されていたことを活用させてもらいました。
そしてこの施策は、ロシアからの輸入の代替に留まりませんでした。品質、コスト、量をよりきめ細かく、個別のニーズに応じて、物流を再構築するきっかけとなったのです。
これまで以上にお客様の信頼を得たことで、ロシア産石炭に頼らず事業を継続できただけでなく、お客様の抱える課題を解決することに繋がりました。

逆境を乗り越えることができた「3つの要因」

今では、他社でも同様のシステムに取り組んでいる先もありますが、業界の常識を覆す転換を当時の当社が実現できた理由には、以下の3つの要因があります。

  • 当社の強みである三井物産株式会社と住友商事株式会社の信用と広範なネットワークを活用できたこと

  • 石炭の専門商社として約30年にわたる長い歴史の中で、良い面も悪い面も含めて多様な経験を積み、お客様との強い信頼関係を構築してきたこと

  • 何よりもお客様を大切にし、資源や物流のそれぞれに真摯に向き合う課題解決志向の人材が揃っていたこと

商社の要は「人」であり、人を育てるのは「上司」であり「仲間」です。そして当社経営陣は「インテグリティを大切にするカルチャー」を職場に提供することが最も重要と考えています。不透明性や不安定性が高まる現代において、今後同様の危機が訪れても、当社は必ず乗り越えられる基盤を持っています。